体験記 No.5

2012年7月生まれ 男の子
父はアトピーなし 、母はアトピーではないが敏感肌

アトピーが一番ひどい時期、入園が迫り一時は園を諦めようかと考えたこともありました。でも、思い悩んだ末に力をかしてもらおうと保育園に入園させることにしました。そこから、息子の肌は見違えるようによくなっていき、今ではアトピーだったことを忘れるくらい元気にたくましく育っています。
きらきらぼしに出会えたこと、そして保育園の先生方、職場の皆さん、私達家族を見守ってくれた友達に感謝しています。

一人でも多くの方にきらきらぼしを知ってもらいたい。
そしてステロイドを使わない方法を選んだことが、普通に受け入れられる環境が増えていきますように。

生後1~4ヶ月

特に変わりなく過ごす。

生後5ヶ月

よく指を吸うようになる。右口横がよだれによりかぶれだす。

生後6ヶ月

両頬へ広がる。離乳食を開始するが肌が心配でなかなかすすめられない。またネットで離乳食は急がなくてもよいという記事を見て一旦中止してみる。
長女も生後6ヶ月より顔がひどく荒れだしたが、離乳食はよく食べ、ステロイドを使わずに姉から教えてもらった方法(入浴+保湿)で過ごし4ヶ月程で治った。
きっと今回も治るだろうと思い、息子にも同じ方法で様子をみることにした。掻かれるのが嫌で目を離さないよう一日の大半を抱っこやおんぶをして過ごした。

私の姉の子供二人にはアトピーがあった。ステロイドを使うと綺麗になるがやめると悪化。その後、免疫力を上げアトピーを自然に治すという考えに出会い、薬を断ち、入浴と保湿を行い徐々に成長とともに治っていった。その経験から、私や子供に同じような辛い想いはさせたくないと「乳児期から強い薬は使わないほうがいい。先のことも考えて自然に治してあげてほしい、必ず綺麗になる」と説得してくれた。私も姉がアトピーで悩んでいた時期を近くで見ていたので、できる限り薬は使いたくなかった。

生後7ヶ月

両頬がジュクジュクしてくる。背中に円形の湿疹ができる。
長女がアトピーで悩んでいた時は2ヶ月程家にこもり生活をしてしまっていたが、今回は娘を友達に会わせてあげたい、外へ連れていってあげたい、自分も家にひきこもってしまわないようにと児童館へ週1~2回は通った。しかし娘の為にと出かけたはずが、結局掻かれるのが嫌、顔を周囲に見えないように抱っこをし続け過ごしていた。意識はいつも息子にあり、リラックスできていなかった。

生後8ヶ月はじめ

保育園の入園健康診査のため、初めて小児科に受診する。健康診査票にアトピー性皮膚炎と書かれ、烙印をおされたかのような気持ちになる。医師に長女がステロイドを使わず自然に治ったこと、姉の経験も含め薬は使いたくないと話す。理解はしてもらえるが、経過観察は必要な状態であり2週間ごとに通院するよう説明をうける。処方された抗アレルギー剤・漢方を飲ませてみる。

顔全体、首、頭にも広がっていく。離乳食再開するが、数口で嫌がる、痒みでのけぞる。入浴すると皮膚がふやけてめくれ、てらてらとした肌に。
息子には保湿や入浴は合わないのかもしれない。自然治癒は無理なのかもしれない。娘の時とは全く違う悪化の仕方に怖くなってくる。一体どうしたらいいのか…これからどうなっていくのか…先が見えない状況に不安になる。

生後8ヶ月半ば

覚悟して8ヶ月検診へ。体重6590g。顔のただれも一番ひどい状態。検診医師より「あなたがこの子のためにしていることは、全くこの子の為になっていない。このままでは成長にも問題がある。」と考えを強く否定される。帰宅し再びネットで検索、ステロイド治療に気持ちが揺らぐ。入園準備で哺乳瓶のミルクに慣れさせなければと分かっていながら、飲まないので仕方ないとあきらめ母乳をあげる日々。疲れがたまり、離乳食にも積極的になれない状態が続く。かさぶたができては掻いてめくれる肌。浸出液の匂い、血で染まる服やシーツ。掻く音。それを毎日何度も繰り返す。目を離した時に強く掻きむしる息子を見て、「お願いだからやめて」と掻く手を強く握る。活気のない息子「本当ならどんなふうに笑うんだろう…辛い思いさせてごめんね」と自分を責める。

生後8ヶ月末

心配した姉が家に来てくれる。気力のない私に「親がしっかりしないと。大丈夫、お腹が減れば絶対にミルクは飲むから」と説得され断乳を決意。5時間後にゴクゴクと哺乳瓶に吸い付く息子を見て少し道ができたような気がした。この日から全てミルクに切り替える。少しずつではあるが体重が増えていく。

姉や母から、「保育園はいい所だと思う。でも、周りは理解してくれないこともある。行かせて辛い想いをするのなら、入園を諦めてゆっくり家でみてあげたほうがいいかもしれない。」という意見を聞き、入園を諦めることを考え出す。

ネットで検索し、きらきらぼしを見つける。特に何もしない方法に驚き、記事に釘付けになる。ステロイドを使わず治した方は沢山いてその方法は様々。それらを試すにはお金がかかることも多く効果がなかったら…と踏み出せずに迷っていた。でも「脱保湿、入浴を控える」「自由に掻かせる」この方法ならすぐにでもはじめられる、実際に治った子供がたくさんいる、きらきらぼしの会は誰でも無料で参加できる、ステロイドを使わない医師に直接話が聞ける、息子を診てもらえる! すがる想いで4月の会に申込む。

生後9ヶ月はじめ

入園3日前。日中一人で抱えこむことに限界を感じ、入園させてみようと思い立つ。食事を大切に考えておられた園であったため力をかしてもらおう、行かせてみて途中で「もうダメだ」と思ったら退園したらいい、とにかく突破口をという気持ちだった。

入園当日。真っ赤な顔の息子を抱き、夫、娘と一緒に式に出る。
クラス写真撮影、私がしっかりしなくてはと強い気持ちで多勢の保護者・先生方の前にでる。式の最後に先生達だけで「手と手と手と」という歌を合唱される。肩を組み手を合わせ、本当に楽しそうに歌われる姿を見て、涙がこぼれた。「きっと大丈夫。この園に入れて良かったと思える日がくる。」不思議とそう思えた。各クラスへ分かれ説明が終わった後、担任の先生にすぐに声をかけられる。はじめに、入園前にアトピーのことを伝えれば、うちでは保育できないと言われるのではという不安から今日まで連絡できずにいたという正直な気持ちを伝え謝まった。聞くと、園では我が子ほどアトピーのきつい子は初めて。その上薬を使わないという方法も。理解してもらえるのかという不安はもちろんあったが、ありのままを包み隠さず今までの経過、辛かったこと、力を借してほしいと思ったこと、周りの方に理解してもらえるかという不安な気持ちを全て伝えた。先生はゆっくり話を聞いてくださり「お母さんがお子さんのことを思い強い気持ちを持っておられたら、絶対に周りの方達にもわかってもらえますよ。大丈夫ですよ、一緒に考えていきましょうね」と。朝に重たかった心が、帰りの門を出る時には少し軽くなっていた。

職場にも全て話す。復職は無理のないようにと言ってくださり、5月からとなる。

1ヶ月かけて慣らし保育。朝になると憂鬱な気持ちになるが、私が強くならなければ、息子はこんなにも頑張っているんだからと園に向かう。年長児が顔を見て「どうしはったん?」「うわー、顔真っ赤やん!」など次々に話かけてくる。こどもの素直な反応だと思い「心配してくれてありがとう」「今、治そうと頑張ってるの」など返事ができる時もあれば、誰にも声をかけられないように急いでクラスへ向かう日もあった。
よく泣くが、息子は少しずつ先生の腕の中で眠ることができるようになり、少しずつ食べるようになり、おもちゃに興味を示すようになっていく。私の手から離れる時間を持つことで生活のリズムができていくように思えた。

肌の状態はまだ変化はなくステロイドを使うか悩むが、姉の「きらきらぼしに参加してからでも遅くない。ここまで薬を使わず頑張ったんだから、もう少しだから」という言葉で思いとどまる。

夫の両親がよくならない息子を心配してステロイド治療の本を図書館から借りて持ってくる。再び気持ちが揺れ辛くなる。そして数日後、「気持ちを考えず焦ってごめんね。本当に正反対の事が書いてあるね。薬のことは、きらきらぼしに参加してから決めてもいいと思う。」と佐藤先生著の赤い本『赤ちゃん・こどものアトピー治療 ステロイドにNOを!』も借りて渡してくれた。両親の思いに救われた気持ちになる。

生後9ヶ月後半

はじめて、きらきらぼしに参加(夫、娘、息子、義母と)。同じ境遇の親子が沢山参加しておられ、本当の意味で気持ちが楽になった。佐藤美津子先生に息子を診てもらい、ミルクの量・回数・離乳食の進み具合、採血の数値を話す。「大丈夫、保育園に行って悪くなった子はいないです。一生懸命になりすぎず、逆に子供と離れることでいいこともあるよ。」と聞き安心する。また渡辺栄養士さんから、食事の大切さ<米・具沢山お味噌汁(人参は毎日食べてほしい)・たんぱく質も必要>について教えてもらう。自由に掻かせることが大切とは分かっていてもついつい掻く手を止めていたが、実際にアトピーを克服した子供達をじかに見てその親から話を聞かせてもらい、頑張ってみよう、この方法で信じてみよう、ステロイドは絶対に使わない、もう揺れないと決意する。

園にも聞いた内容を伝えた。2ヶ月おきに開催されるきらきらぼしにはその後も参加を続け「次の会まで頑張ろう。」と自分に言い聞かせ励みにして過ごした。自宅では栄養士さんに聞いたことを参考に毎日具沢山味噌汁を作り、たんぱく質を取り入れるように心がけた。小児科の食物アレルギー検査で、卵白に反応が出たため保育園では除去食で対応してもらい、自宅で少しずつ試していくようにした。
極力抱っこひもは使わずに普通の子と同じように過ごさせた。

生後10ヶ月はじめ

復職。園から職場へ連絡が頻繁にあった。「掻き続けています…本当にこのまま何もせず掻かせていていいんですか?」親の私でさえ目を背けたくなる息子の掻く姿を、先生方に私の変わりに見てもらわないといけなかったため、かかってくる電話は当然のことと感じていた。また「なかなか寝付けず掻いています…○○ちゃんの負担を考え少しずつ慣らしていきたいので、可能なら迎えにきてもらえますか?」という電話も。早退させてもらい園に迎えに行く日がほとんど。職場に申し訳ないと感じ退職も考え相談したが「仕事は続けてもらいたい。今は子供さんのことを一番に考えてあげて、早退は気にせずに、大丈夫ですよ」と。ありがたい気持ちで一杯だった。

小児科再診。離乳食を食べる量、体重ともに少しずつ増えてきているが肌は同様、採血データ改善しておらずステロイドの治療を再度すすめられる。
薬には頼りたくないことを伝え、阪南中央病院への紹介状を書いてもらう。内服しても掻くことに変わりはなかったので、抗アレルギー剤・漢方を飲ませることをやめる。

生後10ヶ月半ば

保育園の担任より、「園長とも相談したが、今のままでは○○ちゃんが心地よく過ごせていないと思う…成長のことも考えステロイドを使う事を考えてもらったほうが…」と相談をうけるが、私の気持ちは固く「薬を使うくらいなら、仕事を辞める覚悟でいます」と伝える。

生後10ヶ月後半

顔を掻いても乾燥するのが早くなってくる。阪南中央病院受診。佐藤健二先生より「食べる量が増え、体重も増えてきている。得に問題なし、次の診察予約も必要ない。何か変わりがあれば受診するので大丈夫」といってもらえる。治るかもしれない、と初めて思えた。
園より確認してほしいと言われていた、砂場遊び・水遊びについても聞いてみたが「他の子と同じように遊ばせてあげて」と。
夜中に掻いていても、目を閉じ何もせず見ないように過ごす。気づくといつのまにか、自分も寝ており、息子も掻いて満足したのか寝るようになってくる。

生後11ヶ月

掻いても乾燥するスピードがどんどん早くなり、笑顔も見られるようになる。徐々に園からの連絡も減り、早退する日が減ってくる。生後9ヶ月まで、ほぼ抱っこ生活をしてしまっていたため、成長が遅いことが心配になる。

1歳

乾燥している方が多くなり、白い肌も見えてくる。この時期から肌はどんどんよくなっていく。ずり這いでよく動く。園での水遊びも友達と同じようにする。汗をかく季節であったので、一日に一度、石鹸を使わずシャワーでさっと流す程度で過ごす。年長さんの子が「お顔きれいになってきたね」と声をかけてくれる。いつも見ていてくれたんだなと思い嬉しくなる。

1歳1ヶ月

初めての海にも入れる。はいはいで移動する。

1歳2ヶ月

途中また肌が荒れるが「またすぐよくなる」と思えるように考え方も変わってくる。抜けていた髪が生えてくる。伝い歩きをする、指さしをする 、頂きますの手を合わせる。

1歳3ヶ月

おもちゃを取られると泣く。自己主張をしだす。

1歳5ヶ月

一人で立つがまだ歩けない。水疱瘡になり、久しぶりにかかりつけの小児科に受診する。綺麗になった顔を見て驚かれる。一番悪化していた時期に、私の意見を尊重してくださった医師に改めて感謝する。元気になった息子を見てもらうことができ「よかったね」と言ってもらえ嬉しかった。

1歳6ヶ月

成長が遅いことが心配であったが保育園より「○○ちゃんのペースで確実に成長していますよ。大丈夫ですよ」と言ってもらい、検診へ向かう。まだ歩けず、2ヶ月後に経過診察・2歳前に心理経過診察をそれぞれ受けるよう医師から言われる。
覚悟はしていたので、さほど落ち込みもしなかった。
肌は綺麗になっており、前回の検診(8ヶ月)で強く指摘されたアトピーについては全く触れられることなく終了した。体重9kg。寒い時期、入浴回数を減らし対応する。肌の乾燥が心配であったが、カサカサしていても数日様子をみればよくなっていたりと保湿剤を使わなくても悪化せずに過ごせた。

1歳7ヶ月

ついに歩き出す

1歳8ヶ月

経過診察で、歩いている姿を見てもらい問題なしと言われる。冬~春、季節の変わり目も特に肌の変化もなく過ごせる。

2歳

心理経過診察で「緊張はしているが、こちらが見本を見せればしっかり手の動きを観察し、次は自分でできている。言葉の数はまだ少ないが成長と共に増えていくでしょう。問題なし」と言われる。アトピーがひどかった約5ヶ月もの長い期間、ほとんど抱っこ生活をしてしまっていたため成長も遅らせてしまったことを心配していたが、この時ようやく、ステロイドを使わない方法を選択したことを振り返り、全てこれでよかったんだと思うことができた。

現在2歳5ヶ月

言葉の数も増え、イヤイヤもしっかり主張!今ではクラスのお友達と同じように走ったり、飛び跳ねたり、滑り台も楽しんだりと毎日元気に大好きな保育園に行ってます。

最後に、園の担任先生から進級前に頂いたノートへのお返事を紹介させてください。

「お手紙ありがとうございました。お母さんの不安はとても伝わっていました。なかなかよくならず、泣いている○○ちゃんは園にいることが幸せなのかお母さんとゆっくりいる方がよいのではないかと迷ったこともあります。それでも薬は使いたくないと言い切り、家から一歩踏み出したお母さんの思いにはこたえたいと思いながら過ごしてきました。できることは精一杯しよう、○○ちゃんにとってよい生活にしたいのは同じ思い、それに向かっていこうと私たちも思うことができました。
食べない、動かない…どうなるのかなと本当に不安も大きかったと思います。でも今では…ね。別人のようです。本当に大きくなったなと思います。笑ったよ、おもちゃに手がのびたよ、歩いたよ…沢山の成長をともに喜んでこれたことはよかったです。これからもどんな姿になっていくか楽しみですね。到らないこと不安にさせたことも沢山あったと思いますが一年間ありがとうございました。」

温かい言葉に涙が出ました。諦めなくてよかった、感謝の気持ちでいっぱいです!


 

きらきらぼしに参加したことをきっかけに、長女(当時2歳)に長く使用してきた保湿剤も少しずつ減らすことにしました。検診でも乳児期から沐浴後は保湿剤を使うことを教えられます。毎日ゆっくりお風呂につかり保湿剤を使う、これで娘のアトピーは治ったと思っています。でも正直なところ、やめればまた悪くなるのでは?それなら保湿剤なんだし塗っておこう、そう思い続け使っていました。でも、この子はこのままずっと保湿剤を使い続けていかなくてはいけないのか、本当に今も必要なのか、そう疑問に思いはじめたからです。
入浴後に慌てて全身に塗っていたローションをやめ、ワセリンを少量濡れたままの肌に伸ばすという方法に変更しました。一日おき…2日おき…乾燥しているところだけ…というよう間隔をあけていきました。また、入浴も肌の状態に合わせ、湯船につからずシャワーのみで過ごすこともありました。1年目の春は主に膝裏に強い痒みが出て、赤く荒れ皮膚が割れることもありました。「痒いー!」と寝る前に泣くことも度々。でも季節が夏になると少しよくなり(しみるようで保育園のプールはあまり楽しめていませんでしたが)、また秋に痒みで赤くなるが、しばらく様子をみるとよくなっていきました。娘の肌は季節に応じて自分の力でなんとか合わせようとしているようでした。
2年目の春は主に肘内側に。

でも夏にはとても綺麗になりプールにも海にも楽しんで入れるようになりました。保湿剤を使いすぎたことで、汗をかけない体質になっていましたが、今では冬場でカサカサした肌でも数日様子をみていると、さらさらという肌になっており自分の体から出せるようになってきています。ゆっくりお風呂に入れるようにもなってきました。一年一年、克服しています。

佐藤美津子先生が言われている「アトピーにとらわれない子育て」を知ってから、子供の症状を、様子を見ていける範囲かまず考え、治す力を待てるようになりました。
子供達のアトピーは私に色々なことを教えてくれるきっかけになったと思います。

2016/08/18